あの日のカロリー

日々の食事の記録、雑感に次ぐ雑感

天才だけでつくってほしい

2019年11月29日、フジテレビの「全力!脱力タイムズ」で起きたことについて、思ったことを書いておきます。

放送内容についてはもう知っている人が多いと思うのですが、一応簡単に書くと、

①以前から同番組で、柴田さんの前に偽ザキヤマとしてバービーやコウメ太夫が出てきて一緒に漫才をするというくだりが数回あった。
②この日も偽ザキヤマとして俳優の小手伸也が登場。柴田とアンタッチャブルのファーストフードのネタを始める。
③ネタの途中で小手伸也がセリフを忘れてしまい、「ドラマの合間に来ていて…」と言い訳すると、有田がキレる。不穏な空気になり、小手伸也ハケてしまう。
④一応最後までもう1回漫才をやろうということになり、有田が小手伸也を連れ戻しに行く。
⑤有田が連れてきたのは、偽ザキヤマになりきる小手伸也になりきるザキヤマ(つまり本物のザキヤマ)。
⑥「気を取り直した小手伸也が改めて漫才を披露!」というテロップが画面右上に出続けたまま、小手伸也になりきるザキヤマと柴田が漫才をした。

っていう流れだったわけです。

で、この漫才がどれほど素晴らしかったかとか、柴田のリアクションとか、ザキヤマの様子とか、そういうのは私なんかじゃなく、もっとアンタッチャブルのコアなファンの方が書いていると思うので、それはここでは割愛します。(もちろん私もすごく興奮したし感動しました)

それ以外のところで、私がすごいなと思ったのが、前フリの小手伸也さんでした。
まず、見た目が本当にザキヤマにそっくりでした。
それから、セリフを忘れたところの演技で不穏な空気を一瞬でつくったのもすごかったし、漫才の部分もすごかった。
特に、漫才の部分は「絶妙に下手な漫才」になるようにしていたのが凄すぎると思いました。
だって、「普通に下手な漫才」をしたら、柴田が凄すぎるから、柴田のやり方次第で「上手い漫才」に見えてしまう可能性もあるし、逆に、アンタッチャブルのコアなファンからしたらザキヤマが凄すぎるから、ザキヤマとの対比により「すごく下手な漫才」に見えてしまう可能性もある。
でも、小手伸也さんは「アンタッチャブルよりはもちろん下手だけど、下手すぎない、漫才としてはけっこう上手い」という「絶妙に下手な漫才」という演技をしたのです。間の取り方とか、絶妙なんですよ。これ、本当にすごいと思いました。役者だなあ、天才だなあって。

そんなことを考えていたら、「あ、今回の企画って、登場人物全員が天才だったんだ」って思ったんです。
アンタッチャブルは漫才の天才で、小手伸也は演技の天才で、そしてこの一連を企画したであろう有田がまた天才で。さらに、スタッフも、予告で煽ったり、変なテロップで煽ったり、期待させて引っ張ったり、といった野暮な演出や編集を一切しなかった。特番でもなく、通常回の番組で、しかも「アンタッチャブル復活」ではなく、あくまでも「偽ザキヤマ小手伸也と柴田が漫才をする」という体を貫き通したのです。

で、私は、天才が、天才だけで、つくったものって、本当に凄いんだなって思いました。もし一人でも凡人が余計なことをしてしまったら全てが壊れていたと思います。天才だけでつくったものは、純度が高くて、熱量もすごくて、見ている人の心に直球で来る。そう、「来る〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」のです。